「シングル」が指す2つの意味

ウイスキーのラベルには「シングル」という言葉がよく登場します。シングルモルト、シングルカスク、シングルバレル。どれも「シングル」がついていますが、それぞれが指す「一つ」の対象は異なります。

「シングル」は大きく2つの文脈で使われます。一つは蒸溜所を指す場合、もう一つは樽を指す場合です。この2つの軸を理解すれば、ラベルに書かれた「シングル」が何を意味しているかを正確に読み取れます。

蒸溜所を指す「シングル」

シングルモルトやシングルグレーンの「シングル」は、原酒が単一の蒸溜所で造られたことを示しています。ここでの「シングル」は原料や蒸溜方法ではなく、あくまで蒸溜所の数に関する言葉です。

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「シングルモルト」「シングルグレーン」とは

「シングルモルト」は、一つの蒸溜所で大麦麦芽のみを原料に蒸溜されたウイスキーです。同じように、「シングルグレーン」は、一つの蒸溜所で大麦麦芽以外の穀物を原料に蒸溜されたウイスキーです。スコッチやアイリッシュなど、種類によっては使用する蒸溜器の法規定などがありますが、大原則は変わりません。

「シングル」という言葉から「一つの樽」を連想しがちですが、実際は異なります。一般的に同じ蒸溜所の複数の樽の原酒をブレンドして造ります。マスターブレンダーが複数の樽を組み合わせて、その蒸溜所らしい味わいを安定して再現しているのです。同じ蒸溜所の原酒同士であれば、いくら混ぜても「シングルモルト」もしくは「シングルグレーン」を名乗れます。

熟成年数がバラバラでも「シングル」

ラベルに「12年」「18年」と熟成年数が書かれている場合、その年数はブレンドに使った原酒のうち最も若いものの熟成年数を表しています。12年表記なら、12年以上熟成した原酒だけが使われているという意味です。同じ蒸溜所でつくられていれば異なる熟成年数の原酒をブレンドしても「シングルモルト」「シングルグレーン」と名乗ることができます。

樽を指す「シングル」

シングルカスクやシングルバレルの「シングル」は、蒸溜所ではなく樽を指しています。一つの樽から瓶詰めされたウイスキーという意味です。

「シングルカスク」「シングルバレル」とは

「シングルカスク」や「シングルバレル」とは、一つの樽の原酒だけを瓶詰めしたウイスキーです。通常のウイスキーが複数の樽をブレンドして味を調整するのに対し、シングルカスクやシングルバレルはその樽だけの個性がそのまま表れます。

その特徴は、樽ごとに味わいが異なる点にあります。同じ蒸溜所の同じ年に仕込んだ原酒でも、樽の状態や貯蔵位置によって熟成の進み方は変わります。瓶詰めされたウイスキーは一樽ごとに異なる個性を持つため、多くの場合ラベルに樽番号や瓶詰め本数が記載されています。

なお、「シングルカスク」とよく混同される言葉に「カスクストレングス」がありますが、これは別の概念です。カスクストレングスは加水せずに樽出しのアルコール度数のまま瓶詰めすることを意味します。「シングルカスク・カスクストレングス」と両方が記載されていれば、一つの樽から加水なしで瓶詰めされたウイスキーという意味になります。

「シングルカスク」と「シングルバレル」の違い

「シングルカスク」と「シングルバレル」は同じ意味ですが、産地によって呼び方が異なります。バーボン、ライ、テネシーなどのアメリカンウイスキーでは「シングルバレル」と呼ばれますが、スコッチ、アイリッシュ、ジャパニーズ、カナディアンなど他の国で造られるウイスキーでは「シングルカスク」が一般的です。

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まとめ

ウイスキーの「シングル」には、蒸溜所を指す場合と樽を指す場合の2つの意味があります。シングルモルトやシングルグレーンでは「一つの蒸溜所」、シングルカスクやシングルバレルでは「一つの樽」を意味します。同じ「シングル」でも修飾する対象によって伝える情報は全く異なります。次にウイスキーを手に取ったとき、ラベルの「シングル」が蒸溜所と樽のどちらを指しているかに注目すると、これまでと違った視点で選べるようになるはずです。「ブレンデッド」の意味について詳しく知りたい方は「ウイスキーの「シングル」が持つ複数の意味」をご覧ください。他のウイスキーの種類も知りたい方は「ウイスキーの種類一覧〜原料・製法・産地で変わる味わい〜」をご覧ください。