恋愛にまつわるカクテル言葉の世界

恋愛をテーマにしたカクテル言葉は、バー文化の中でもっとも多く語られてきたテーマの一つです。告白や記念日、別れ際の一杯といった場面に寄り添う言葉が、さまざまなカクテルに重ねられており、情熱や片想い、叶わぬ恋まで、恋愛の様々な側面を映し出しています。

カクテル言葉は花言葉のように辞典で厳密に定義されているものではなく、バーテンダーや愛好家の間で語り継がれてきた表現です。そのため同じカクテルでも書き手によってニュアンスが揺れることがあり、恋愛をテーマとした言葉にも複数の解釈が並立しています。本記事で取り上げる言葉は、書籍やバーの現場で繰り返し引用されてきた代表的な解釈です。

カクテル言葉の成り立ちについては「カクテル言葉という文学〜グラスに宿るロマン〜」で詳しく解説しています。

恋愛にまつわるカクテル言葉一覧

恋愛のカクテル言葉には、想いを伝えるもの、愛を誓うもの、終わった恋を映すものまで幅があります。自分の気持ちに近い一杯を見つける手がかりとして、方向性別にまとめました。カクテル言葉で選ぶにしても実際に飲む一杯なので、ベースのお酒と飲み口も参考として添えています。

告白

まだ伝えていない気持ちを届けたい夜に合うカクテル言葉です。

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カクテルカクテル言葉ベース飲み口
スクリュードライバーあなたに心を奪われたウォッカ甘口
アプリコットフィズ振り向いてくださいアプリコットブランデー甘口
ロブ・ロイあなたの心を奪いたいスコッチウイスキー中甘口
ウォッカギブソン隠せない気持ちウォッカ辛口

スクリュードライバーはウォッカをオレンジジュースで割った甘口のカクテル、アプリコットフィズはアプリコットブランデーにレモンと炭酸を合わせた甘酸っぱいロングカクテルです。ロブ・ロイはスコッチウイスキーベースにスイートベルモットを合わせた一杯、ウォッカギブソンはウォッカとドライベルモットにパールオニオンを添えたドライな一杯で、甘口から辛口まで幅があります。

成就

愛が結ばれた相手との記念日や節目の席に合うカクテル言葉です。

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カクテルカクテル言葉ベース飲み口
XYZ永遠にあなたのものホワイトラム中甘口
サイドカーいつも二人でブランデー中口

XYZはホワイトラムにホワイトキュラソーとレモンジュースを合わせたショートカクテル、サイドカーはブランデーベースにホワイトキュラソーとレモンジュースを合わせたクラシックカクテルです。どちらも柑橘の酸味が効いたすっきりした飲み口です。

失恋

実らなかった恋や、終わった関係を静かに振り返る夜に合うカクテル言葉です。

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カクテルカクテル言葉ベース飲み口
ブルームーン叶わぬ恋・できない相談ドライジン甘口
ギムレット遠い人を想うドライジン辛口

ブルームーンはドライジンにバイオレットリキュールとレモンジュースを合わせた青紫色のショートカクテル、ギムレットはジンにライムジュースを合わせたシャープな一杯です。どちらもジンベースですが、飲み口は対照的です。

その他恋愛にまつわるもの

特定の段階に限定されず、恋愛そのものの感情を映すカクテル言葉です。

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カクテルカクテル言葉ベース飲み口
カンパリオレンジ初恋カンパリ中甘口(ほろ苦い)
ジンライム色褪せぬ恋ドライジン辛口
ブルー・ラグーン誠実な愛ウォッカ中口

カンパリオレンジはカンパリをオレンジジュースで割ったほろ苦い一杯、ジンライムはジンにライムを加えたシンプルなカクテルです。ブルーラグーンはウォッカにブルーキュラソーとレモンジュースを合わせた鮮やかな青色のカクテルです。

夜のバーで二人がカクテルを掲げて乾杯する温かな灯りに包まれた手元

代表的なカクテル言葉を深掘り

一覧で紹介したカクテルの中から、告白・成就・失恋・その他の各方向性を代表する4杯を取り上げ、カクテル言葉の背景や味わいを詳しく紹介します。

スクリュードライバー「あなたに心を奪われた」

スクリュードライバーは、ウォッカをオレンジジュースで割ったシンプルなロングカクテルです。カクテル言葉は「あなたに心を奪われた」で、恋愛系カクテル言葉の中でも特に有名な一杯です。

ウォッカは無味無臭に近いためオレンジジュースに溶け込み、飲みやすさでいつの間にか酔わされてしまうことから「レディキラー」の異名を持ちます。知らず知らずのうちに心を奪われている、というこの飲み心地がカクテル言葉の由来になったとされています。名前は、1940年代にイランの油田で働いていたアメリカ人作業員がウォッカとオレンジジュースを混ぜる際、マドラーの代わりにねじ回し(スクリュードライバー)を使ったエピソードに由来します。テキサスの油田とする説もあります。

味わいはオレンジジュースの甘みと酸味が前面に出るため非常に飲みやすく、お酒に慣れていない人にも親しみやすい口当たりです。ただしアルコールの存在感が隠れやすい分、気づかないうちに酔いが回ります。

XYZ「永遠にあなたのもの」

XYZは、ホワイトラムにホワイトキュラソーとレモンジュースを合わせたショートカクテルです。カクテル言葉は「永遠にあなたのもの」で、恋愛の成就を祝う場面にふさわしい一杯です。

名前はアルファベットの最後の3文字「X・Y・Z」に由来し、「これ以上のものはない」「究極」という意味が込められています。カクテル言葉の「永遠にあなたのもの」も、この「これ以上はない」を愛情に重ねた表現です。

味わいは柑橘の酸味と甘みのバランスがよく、口当たりはやさしい仕上がりですが、アルコール度数は約27度と高めです。

ブルームーン「叶わぬ恋・できない相談」

ブルームーンは、ドライジンにバイオレットリキュールとレモンジュースを合わせた青紫色のショートカクテルです。カクテル言葉は「叶わぬ恋」「できない相談」です。

カクテル言葉の由来は、英語の慣用句「once in a blue moon」です。同じ月に満月が2回訪れる稀な現象を指し、「めったに起きない」「ほとんどあり得ない」という意味で使われます。この「あり得ない」というニュアンスが、成就しない恋と重ねられてカクテル言葉になったとされています。一方で、バイオレットリキュール(パルフェタムール)はフランス語で「完全な愛」を意味するため、「完全なる愛」という正反対のカクテル言葉も並立しています。

味わいはバイオレットリキュール由来のスミレの香りとジンのドライさ、レモンの酸味が合わさり、甘口ながらすっきりした仕上がりです。アルコール度数は約25〜30度で、華やかな見た目の印象ほど軽い一杯ではありません。

カンパリオレンジ「初恋」

カンパリオレンジは、1860年にイタリア・ミラノで生まれたリキュール「カンパリ」をオレンジジュースで割ったカクテルです。カクテル言葉は「初恋」です。

カンパリはビターオレンジやコリアンダーなど数十種類のハーブやスパイスから作られるリキュールで、ほろ苦さが大きな特徴です。そこにオレンジジュースの甘酸っぱさが加わることで、ほろ苦くも甘い味わいが生まれます。この味わいが初恋の記憶と重ねられ、カクテル言葉の由来になったともいわれています。

飲み口はほろ苦さと甘酸っぱさのバランスがよく、アルコール度数は約6〜8度と低めで飲みやすい一杯です。

まとめ

恋愛にまつわるカクテル言葉はバーで最も多く語られてきたテーマのひとつで、まだ届けていない想いから愛の誓い、終わった恋の振り返り、さらに初恋のように特定の段階に限らない感情まで、幅広い意味がカクテルに込められています。辞典で決まった表現ではなく書き手によって解釈が揺れることもありますが、この記事ではバーや書籍で広く引用されてきた代表的な解釈を方向性ごとに整理しました。ぜひ気持ちに寄り添う一杯を見つけてみてください。他のカクテル言葉も知りたい方は「気持ちを伝えたい時に使えるカクテル言葉一覧」をご覧ください。