ロゼワインとは

ロゼワインは、淡いピンクから濃いサーモン色までの色合いを持つワインの総称です。多くのロゼは黒ぶどうの皮と果汁を短時間だけ接触させて造られますが、白ワインに赤ワインを加えるブレンド法で造られるものもあります。赤ワインのように皮ごと長く発酵させるわけでもなく、白ワインのように果汁だけで仕上げるわけでもない、独自の造り方によって赤ワインの果実味と白ワインの軽やかさを兼ね備えた味わいが生まれます。

ロゼワインの歴史は古く、紀元前の古代ギリシャ・ローマ時代にまで遡ります。当時は果皮と果汁を長時間接触させる技術が未発達だったため、造られるワインの多くは自然と色の薄いものになっていました。つまり、人類が最初に飲んだワインはロゼに近いものだったと考えられています。フランス・プロヴァンス地方にロゼワインの伝統が根強いのも、古代ローマ人がこの地にワイン造りを持ち込んだことに由来します。

「ロゼ」はフランス語で「バラ色」を意味します。その名のとおり色合いが最大の特徴ですが、この色は品種や産地ではなく醸造の方針によって決まります。製法や皮との接触時間、加える赤ワインの量によって色の濃さが変わり、造り手の判断ひとつで幅広い表情が生まれます。

白い大理石に置かれた脚付きグラスに注がれた淡いサーモンピンクの冷えたロゼワイン

ロゼワインの製法

ロゼワインの個性を決めるのは、色をどうやって付けるかです。代表的な製法は4つあり、どの方法を選ぶかで色の濃さと味わいの骨格が大きく変わります。

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製法造り方の特徴仕上がりの傾向
セニエ法黒ぶどうを皮ごとタンクに入れ、数時間〜1〜2日漬け込んでから果汁を抜き出す濃いピンク色。タンニンと果実味があり、赤ワインに近い飲みごたえ
直接圧搾法黒ぶどうを破砕後すぐに圧搾し、皮との接触を最小限にする淡いピンク色。タンニンが少なく、白ワインに近いすっきりした味わい
混醸法黒ぶどうと白ぶどうを混ぜた状態で発酵させる白ブドウの影響でフルーティーで飲みやすい味わい
ブレンド法白ワインに少量の赤ワインを加える加える赤ワインの量で色と味わいが調整される

セニエ法はロゼワインで最も多く用いられる製法で、フランス・ローヌ地方のタヴェルという産地の力強いロゼが代表例です。直接圧搾法はプロヴァンス地方で主流の製法で、この地方の淡く繊細なロゼの多くはこの方法で造られています。混醸法は12世紀頃のボルドーで造られていた「クラレット」に由来する歴史ある製法ですが、現在ではほとんど使われていません。

ブレンド法は、赤ワインと白ワインを混ぜてロゼにするという最もシンプルな方法ですが、EUの規定では原則として禁止されています。例外としてシャンパーニュ地方のみ、ロゼ・シャンパーニュの製法として認められています。

ロゼワインの味わいの特徴

ロゼワインの味わいは「色の濃淡」と「甘辛度」の2つで大きく変わります。

色の濃淡は皮との接触時間で決まり、味わいに直結します。色が淡いほど酸味と繊細さが主役になり、色が濃いほど果実味とボディが前に出て、軽めの肉料理にも合わせやすくなります。ラベルから透けて見える液体の色を眺めるだけでも、味わいの方向性がある程度つかめます。

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色の濃淡味わいの傾向
ペールピンク繊細で軽やか、柑橘や白い花の香り
サーモンピンク果実味がありバランスが良い、中間型
濃いルビー骨格があり飲みごたえあり、ベリーの香り

甘辛度はぶどうの糖分がどれだけアルコールに変換されたかで決まります。糖分をほぼすべて発酵させれば辛口に、発酵を途中で止めて糖分を残せば甘口になります。ロゼワインは甘口というイメージを持たれがちですが、世界的には辛口が主流です。辛口のロゼはすっきりとした口当たりで、華やかな香りがありながら味わいはドライで酸味にキレがあります。甘口のロゼは口当たりがまろやかで、フルーツの甘みが豊かに感じられ、ワインを飲み慣れていない方にも親しみやすい味わいです。

甘辛度を見分ける手がかりはラベルの表記とアルコール度数です。「Sec(辛口)」「Demi-Sec(やや甘口)」といった表記があればそのまま参考にできます。表記がない場合はアルコール度数が目安になり、一般的に13%以上は辛口寄り、それ以下は甘口の可能性が高いとされています。

代表的なロゼワインの産地と品種

ロゼワインは産地ごとの個性が強く、選ぶ際は「どこの」が最初の手がかりになります。世界の主要産地と使われる品種の特徴を整理します。

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産地主な品種特徴
プロヴァンスフランスグルナッシュ、サンソー、シラー辛口、繊細で軽やかな味わい
タヴェルフランスグルナッシュ、サンソー辛口、力強くコクのある味わい、ロゼ専門AOC
ロワール(アンジュー)フランスカベルネ・フラン、グロローやや甘口、フルーティーで親しみやすい
ナバラスペインガルナッチャ辛口、しっかりした果実味
カリフォルニアアメリカジンファンデル甘口寄り、まろやかで飲みやすい
シャンパーニュフランスピノ・ノワール、シャルドネ辛口、発泡性、ブレンド法が認められる

プロヴァンスは世界最大のロゼワイン産地です。フランスではロゼの消費量が白ワインを上回っており、その中心にあるのがプロヴァンスです。コート・ダジュールのリゾート文化とともにロゼの消費が根付き、夏場の食中酒として根強い人気があります。

タヴェルはローヌ地方にある、ロゼワインだけを造る産地です。1936年にフランス初のロゼワインAOCとして認定されました。フィリップ4世やルイ14世にも愛飲されたと伝えられるほど歴史が古く、軽やかなイメージが強いロゼのなかでは珍しく、肉料理にも合わせられる力強い味わいが特徴です。

ロワール地方のアンジューは、やや甘口のロゼが伝統的に造られてきた産地です。「ロゼ・ダンジュー」と「カベルネ・ダンジュー」は使用品種や甘辛度が異なり、ラベルの名称で見分けられます。プロヴァンス・タヴェルと並んでフランス三大ロゼのひとつに数えられています。

カリフォルニアのホワイト・ジンファンデルは、1970年代に偶然生まれた甘口寄りのロゼです。親しみやすい味わいからアメリカで爆発的に人気を集め、ロゼワインの人気を広めました。

ロゼ・シャンパーニュは、華やかな色合いと泡立ちから祝いの席の定番として扱われます。通常のシャンパーニュより生産量が少なく、希少性から価格も高めの傾向があります。

木のテーブルに並ぶ濃紫色と淡緑色のぶどう房に午後の柔らかな光が当たる

ロゼワインの楽しみ方

ロゼワインを飲む際は白ワイン用のやや小ぶりなチューリップ型グラスが適しています。開口部がすぼまっているため香りが逃げにくく、低温をキープしやすい形状です。飲む温度はしっかり冷やすのが基本で、淡い色のロゼは8〜10℃、濃い色のロゼは10〜12℃が目安です。

ロゼワインはまずよく冷やした状態で一口飲んでみるのがおすすめです。冷たい状態では酸味がキリッと引き締まり、ロゼならではのフレッシュな果実味を感じられます。そこから時間が経つにつれてグラスの中で少しずつ温度が上がり、香りが開いて味わいの印象が変わっていきます。まずは冷蔵庫で3〜4時間しっかり冷やしておき、飲みながら温度変化を楽しむのが一番わかりやすい方法です。

ロゼワイン初心者には、プロヴァンスの淡い辛口ロゼから始めるのがおすすめです。クセが少なく軽やかで、魚介類やサラダ、鶏肉など幅広い料理に合わせやすいため、ロゼならではの「赤にも白にも寄りすぎない」万能さを実感できるはずです。

まとめ

ロゼワインは、皮との短時間の接触やブレンドなど独自の製法によって、赤ワインの果実味と白ワインの軽やかさを兼ね備えた味わいが生まれるワインです。セニエ法なら赤ワインに近い飲みごたえのある仕上がりに、直接圧搾法なら白ワインに近いすっきりした味わいになるなど、製法によって色の濃さと味わいの骨格が大きく変わります。産地の個性も明確で、プロヴァンスの繊細で軽やかなロゼから、タヴェルの肉料理にも合わせられる力強いロゼまで幅広い選択肢があります。色の濃淡や甘辛度を手がかりに、ぜひ自分好みのロゼワインを探してみてください。他のワインの種類も知りたい方は「ワインの種類を知る〜色と製法で異なる味わい〜」をご覧ください。