別れにまつわるカクテル言葉

別れをテーマにしたカクテル言葉には、知られているものがいくつもあります。去りゆく人への惜別や、過ぎた時間を留めたいという願いが、それぞれのカクテルに込められています。

カクテル言葉は花言葉のように辞典で厳密に定義されているものではなく、書き手によってニュアンスが揺れることがあります。本記事で取り上げる言葉は、複数の情報源で繰り返し見られる代表的な解釈です。

カクテル言葉の成り立ちについては「カクテル言葉という文学〜グラスに宿るロマン〜」で詳しく解説しています。

別れにまつわるカクテル言葉一覧

別れのカクテル言葉には、束の間の離別を惜しむものから、永遠に忘れないでほしいと願うものまで幅があります。自分の気持ちに近い一杯を見つける手がかりとして以下にまとめました。カクテル言葉で選ぶにしても実際に飲む一杯なので、ベースのお酒と飲み口も参考として添えています。

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カクテルカクテル言葉ベース飲み口
ジプシーしばしの別れウォッカ中口
ブランデー・クラスタ時間よ止まれブランデー中口
バイオレットフィズ私を覚えていてドライジン中口
ブラックベルベット忘れないでビール中口

別れに込める想いが強くなる順に、上から並べています。またの再会を願う気持ちから、相手の記憶にずっと残りたいという想いまで、伝えたい気持ちに近いものを探してみてください。何気ない注文も、カクテル言葉の意味を知っていれば別れの想いを届ける手段になります。

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ジプシー「しばしの別れ」

ジプシーは、ウォッカにベネディクティンとアンゴスチュラビターズを加えてシェイクしたショートカクテルです。カクテル言葉は「しばしの別れ」です。

「ジプシー」はヨーロッパ各地を放浪する民族を指す言葉で、定住せず各地を渡り歩くその暮らしが「しばしの別れ」というカクテル言葉に重なっています。名前の由来について明確な記録は見つかっていませんが、1930年に出版されたサヴォイカクテルブックにも同名のカクテルが別のレシピで掲載されています。

味わいはウォッカのキレにベネディクティンの薬草系の甘みとコクが加わり、甘さと辛さと苦さのバランスが取れた飲み口です。アルコール度数は約35度です。

ブランデー・クラスタ「時間よ止まれ」

ブランデー・クラスタは、ブランデーにマラスキーノ、レモンジュース、アンゴスチュラビターズを加えてシェイクし、砂糖でスノースタイルにしたグラスに注ぐカクテルです。カクテル言葉は「時間よ止まれ」です。

カクテル言葉の「時間よ止まれ」の由来について明確な記録は見つかっていません。一方、名前の「クラスタ」は「外皮で包む」という意味で、グラスの縁を砂糖で飾り、螺旋状に剥いた果実の皮をあしらうスタイルに由来します。19世紀中頃にアメリカ・ニューオーリンズのバーテンダー、ジョゼフ・サンティーニが考案したとされ、後のサイドカー誕生にも影響を与えたといわれています。

味わいはブランデーの芳醇な香りにマラスキーノの甘みとレモンの酸味が加わり、さわやかでも飲みごたえのある仕上がりです。アルコール度数は約32度です。

バイオレットフィズ「私を覚えていて」

バイオレットフィズは、ドライジンにパルフェタムール、レモンジュース、シュガーシロップを加えてシェイクし、ソーダで満たすロングカクテルです。カクテル言葉は「私を覚えていて」です。

カクテル言葉の「私を覚えていて」の由来について明確な記録は見つかっていません。一方、名前の「バイオレット」はスミレの英語名で、使用するリキュール「パルフェタムール」の特徴的な紫色に由来します。「フィズ」はスピリッツに柑橘類の果汁と甘味を加えてシェイクし、ソーダで割るカクテルスタイルの総称です。パルフェタムールはフランス語で「完全なる愛」を意味し、1760年にフランスのロレーヌ地方で誕生したとされる歴史あるリキュールです。

味わいはパルフェタムールのスミレのような華やかな香りにレモンの酸味が加わり、ソーダの炭酸がすっきりとした後味にまとめています。アルコール度数は約11度です。

ブラックベルベット「忘れないで」

ブラックベルベットは、スタウトビールとシャンパンを1対1で合わせたロングカクテルです。カクテル言葉は「忘れないで」です。

カクテル言葉の「忘れないで」の由来について明確な記録は見つかっていません。一方、名前の「ブラックベルベット」は「黒いビロード」という意味で、二つのお酒が合わさって生まれるきめ細かな泡の舌触りがビロードのようになめらかなことに由来します。1861年にイギリスのビクトリア女王の夫アルバート公が亡くなった際、ロンドンのブルックス紳士クラブのバーテンダーが哀悼の意を込めて考案したとされています。

味わいはスタウトビールの香ばしさとほろ苦さにシャンパンの爽やかな酸味が加わり、さっぱりとしながらもコクのある飲み口です。アルコール度数は約9度です。

まとめ

しばらくの離別を惜しむものから永遠に忘れないでほしいと願うものまで、別れにまつわるカクテル言葉にはさまざまな想いが込められています。言葉がいつ結びついたのかはほとんど記録に残っていませんが、その意味は今も知られています。何気ない注文もカクテル言葉の意味を知っていれば別れの想いを届ける手段に変わるので、大切な人との別れの夜に気持ちに合ったカクテルを選んでみてください。他のカクテル言葉も知りたい方は「気持ちを伝えたい時に使えるカクテル言葉一覧」をご覧ください。