おしゃれな名前のカクテルに共通する魅力

おしゃれな名前のカクテルには、ヨーロッパの言葉や文化を背景に持つものが多く見られます。シャンゼリゼはパリの大通り、ベリーニはヴェネツィアの画家、キール・ロワイヤルはフランス語で「王家」を意味するロワイヤルを冠した名前です。口にするだけで異国の空気を感じさせる響きがあります。

名前が見た目を映しているものもあります。テキーラ・サンライズはグラスの中に日の出のグラデーションが現れることからその名がつきました。X・Y・Zのようにアルファベット3文字だけで成り立つ謎めいた名前もあり、おしゃれの切り口はさまざまです。

おしゃれな名前のカクテル8選

ここからは、名前の響きがおしゃれなカクテルを8種紹介します。定番からマイナーまで幅広く選んだので、度数の低いものから順に目を通してみてください。

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カクテル名メニューにあるかベース味わい度数の目安合うシーン
ベリーニ大体あるプロセッコ白桃の甘み・泡の軽やかさ約7%ブランチ・食前
テキーラ・サンライズ大体あるテキーラオレンジの甘み・グレナデンの甘酸っぱさ約12%夏・パーティー
キール・ロワイヤルあまりないシャンパンカシスの甘酸っぱさ・泡の華やかさ約13%乾杯・食前
ジャック・ローズあまりないアップルジャックりんごの果実味・グレナデンの甘酸っぱさ約18%食前・夜
コスモポリタン大体あるウォッカクランベリーの甘酸っぱさ・ライムのキレ約22%食前・夜
ブルー・ムーンあまりないジンスミレの香り・甘酸っぱさ約23%食前・特別な夜
X・Y・Z大体あるラム柑橘の酸味・すっきりした甘さ約25%食前・気軽な一杯
シャンゼリゼあまりないコニャックハーブの複雑な香り・柑橘の酸味約25%食後・夜

度数はレシピや店ごとに差があるため、あくまで目安です。

ベリーニ

プロセッコに白桃のピューレを合わせたヴェネツィア生まれのカクテルです。1948年頃、ヴェネツィアのハリーズ・バーで創業者ジュゼッペ・チプリアーニが考案しました。名前はルネサンス期の画家ジョヴァンニ・ベリーニの作品に描かれた淡い桃色に由来します。

テキーラ・サンライズ

テキーラとオレンジジュースをグラスに注ぎ、グレナデンシロップを沈めて層を作るカクテルです。混ぜずに仕上げることで、グラスの中に日の出のようなグラデーションが現れます。1970年代初頭にカリフォルニア・サウサリートのトライデント・バーでバーテンダーのボビー・ロゾフとビリー・ライスが考案し、1972年にロックバンド、ローリング・ストーンズが全米ツアーで持ち歩いたことで一気に広まりました。

キール・ロワイヤル

シャンパンにクレーム・ド・カシスを加えたフランスの食前酒です。もとになったキールは、ブルゴーニュ地方ディジョン市長のフェリックス・キールが地元産のアリゴテ白ワインにカシスリキュールを加えて広めたものです。白ワインをシャンパンに替えた豪華版が「王家」を意味するロワイヤルの名を冠しました。

ジャック・ローズ

アップルジャック・グレナデンシロップ・レモンジュースをシェイクしたサワースタイルのカクテルです。アップルジャックはりんごの蒸留酒で、アメリカで古くから作られてきたアップルブランデーの一種です。1908年刊の『Jack's Manual』に最初のレシピが記録されています。名前の由来には、ジャクミノ種の薔薇に見立てたという説と、20世紀初頭のニューヨークに実在したギャング「ボールド・ジャック・ローズ」にちなむという説があり、定説はありません。作家ヘミングウェイの小説『日はまた昇る』にも登場します。

コスモポリタン

ウォッカ・コアントロー・クランベリージュース・ライムジュースをシェイクしたショートカクテルです。1980年代後半にアメリカで現在の形が定着し、ニューヨークのバーテンダー、デール・デグロフが広めたとされています。1990年代後半にはドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』で主人公たちが愛飲する一杯として登場し、「国際人」を意味する名前とともに都会的なカクテルの代名詞になりました。

ブルー・ムーン

ジン・クレーム ド ヴィオレット・レモンジュースをシェイクしたカクテルです。最初のレシピは1917年にニューヨークのバーテンダー、ヒューゴ・エンスリンが著した『Recipes for Mixed Drinks』に登場しますが、当時はヴェルモットやビターズも加える複雑な構成でした。禁酒法後にレシピが簡略化され、スミレのリキュールが生み出す薄紫色が「青い月」の名にふさわしい幻想的な見た目を作る現在の形になりました。

X・Y・Z

ラム・コアントロー・レモンジュースをシェイクしたショートカクテルです。1930年にロンドンのサヴォイ・ホテルのバーテンダー、ハリー・クラドックが著した『サヴォイ・カクテルブック』に登場しました。構成はサイドカーのブランデーをラムに替えたもので、アルファベットの最後の3文字を名前に冠した由来には諸説ありますが、定かではありません。

シャンゼリゼ

コニャック・グリーンシャルトリューズ・レモンジュース・シュガーシロップにアンゴスチュラビターズを加えてシェイクしたカクテルです。1925年にロンドンで出版されたカクテルブックに登場し、パリの大通りシャンゼリゼから名前を取りました。シャルトリューズはカルトゥジオ会の修道士が1737年から130種のハーブで作り続けるリキュールで、その香りがコニャックに奥行きを加えます。

洗練されたバーカウンターに置かれたバラ色のジャック・ローズのクープグラス

さらにおしゃれにお酒を楽しむコツ

お酒をおしゃれに楽しむなら、一杯を食事の流れの中で味わうのがおすすめです。ポイントを2つ紹介します。
ひとつめは、どの場面で何を飲むかを考えることです。ヨーロッパには、食事の前に飲んで食欲を整える食前酒(アペリティフ)と、食後にゆっくり味わう食後酒(ディジェスティフ)の文化があります。軽やかな泡のベリーニやキール・ロワイヤルは食前、コニャックの効いたシャンゼリゼは食後と、役割を知って飲み分けるのがヨーロッパ流の粋な楽しみ方です。
ふたつめは、料理やおつまみと合わせることです。食前の軽いカクテルには生ハムやチーズ、白身魚のカルパッチョなどさっぱりした前菜が、食後の重めのカクテルにはチョコレートやナッツなど濃厚なものがよく合います。味の強さをそろえると、カクテルと料理が互いを引き立て合います。

まとめ

おしゃれな名前のカクテルには、ベリーニやシャンゼリゼのように頼むだけで異国の雰囲気が漂うもの、テキーラ・サンライズのように仕上がりの色がそのまま名前になったもの、X・Y・Zのようにアルファベット3文字で謎を残すものがあり、おしゃれの方向もさまざまです。食前にベリーニやキール・ロワイヤルを、食後にシャンゼリゼを選ぶように食事の流れで飲み分ければ、本場の粋な飲み方にもつながります。気になった名前をひとつ覚えて、次のバーでスマートに注文してみてください。他のカクテルも知りたい方は「バーで迷わないカクテルの種類と選び方」をご覧ください。